アーチ造りに挑戦
レンガやモルタルの取り扱いにも随分慣れてきました。今度はもっと難易度の高い、レンガのアーチ作りに挑戦します。
場所はメインテラスの横で、家のリビングの窓から見える位置です。
アーチは、本来石やレンガの自重によって梁や屋根を支えて下部に広い空間を作るための構造物ですが、今回は花壇の装飾として作成します。装飾とは言ってもレンガの自重自体でアーチを形成する構造で、本格的な物を目指しています。
レンガは、他の花壇と趣を変えたかったので、重厚なフランスレンガのブラウンを利用します。
サイズは22.0cm×10.5cm×5.4cmです。
基礎工事
それなりの規模の花壇となるので、基礎はしっかりと作りました。基礎部分は見えないのでコンクリートブロックと赤レンガを利用しています。
ベース部分の仮置き確認
基礎作成の過程で、花壇本体の部分については、レンガを仮置きしながらイメージを確認して行きます。
背面壁の作成
中央部の基礎を作成すると同時に背面の壁のレンガ積みを行います。
背面壁と中央部の完成
フェンスぎわに作成することもあり、構造物が大きくなると裏面側や下側の作業がしにくくなるので、背面壁と中央部の構造物は先に仕上げます。目地については通常のモルタルで目地を作成したのち、白色のモルタルを上塗りしてメリハリのあるデザインに仕上げます。
メイン花壇では、設置場所がフェンスに近すぎて作業が困難になった反省から、位置をフェンスから少し離すように設置しました。これによって、フェンス側の面も覗き込んで作業ができるようになります。
階段部分と周辺部分のレンガ仮置きによるイメージ確認
中央部分の花壇で花の手入れがしやすいように、前面に階段を設けると共に、周辺に一段低くなった花壇を配置するデザインです。基礎レンガを仮置きして、イメージを確認します。
周辺部基礎作り
周辺部のイメージが固まったら基礎を作成します。砕石を踏み固めてその上に基礎用の赤レンガをモルタルで設置して基礎の完成です。
花壇本体の完成
基礎ができたら一旦レンガを仮積みして、花壇本体部分の最終的な造形を確認します。確認できたらモルタルで積み直し、花壇本体の完成となります。
アーチ柱部分の作成
いよいよアーチ部分の作成です。アーチ花壇造成の成否の鍵を握る部分ですので、柱の間隔や目地幅、高さなどは精密に計算し、慎重に作成します。特に重要な柱の間隔は以下項の計算で求めました。
アーチ支え板の作成
柱の上に、レンガを積んでアーチを形成しますが、その作成途中でレンガを支える扇型の板を以下のように作成します。
2本の柱の最上段のレンガを、アーチの水平方向のレンガとします。したがって扇型の中心点は、その水平レンガの真ん中を結んだ線上にあり、その中心点の直上にキーストーンと呼ばれる要(かなめ)石用のレンガが配置されます。
扇型の中心点から放射状に補助線を引き、その線で区切られた円周の弧の長さがレンガの厚さとなるようにします。今回のアーチは、水平レンガとキーストーンの間に10枚のレンガが入ることを想定しています。円周から逆算して扇型の直径、つまり柱の間隔を計算することができます。レンガ44枚分の厚さが円周となる円の直径は、54mm×44÷3.14=757mm となります。
まったく同じ扇型の支え板を2枚用意し、その間をレンガの長さよりも少し短めの幅の棒状の板2枚でつなぎ、支える柱を取り付けます。クリップで挟んで仮止めし、計算通りハマることを確認したら、コーススレッド(木ねじ)を使って固定します。木ねじといってもドライバーで手で締めるのは厳しいので、電動ドライバーを利用しました。柱の長さはほんの少し短めにして、下にクサビ型の板を挟むことによって高さを微調整できるようにしておきます。
アーチレンガ積み
支え板が完成したら、アーチの柱の間に設置して高さを正確に合わせ、全体的に歪みや傾きがないことを確認します。
準備ができたら扇型の支え板に沿って、レンガを並べて行きます。当然アーチの外側にはレンガの間に隙間が開きます。当初はそこに楔形に切った板を挟み込む予定でしたが、なかなかうまくハマりません。結局サイコロ状の木片を作成して、それを挟む位置によって間隔を調整しました。支え板とレンガがぴったり接し、隣接するレンガ同士の角が一直線に合うことが重要です。
キーストーンの整形
レンガの厚みの微妙な誤差から、アーチの最上部のキーストーンがぴったりはまりませんでした。グラインダーで表面を削ってちょうどスッポリハマるサイズに整形します。
アーチの真下にランタンをぶら下げたいので、整形したキーストーンを半分に切断し、溝を掘って金属フックを通せる隙間(穴)を作っておきます。
これで支え板の上に、アーチレンガが配置され、準備万端です。
アーチの自立
ぐらつきや歪みがないことを確認して、いよいよ支え板の取り外しです。支え板の足の下にある楔をそっと外します。
楔を外すと支え板とレンガの間に少し隙間が開き、自立します。レンガ同士がガッチリ組み合って、支えがなくなってもピクリとも動きません。
支え板の取り外し
アーチが自立していることが確認できたので、いよいよ支え板の取り外しです。外してもしっかりアーチが自立していて感動です。
モルタルによる固定
支え板をハメたまま、モルタルで固定するかどうか迷いましたが、外しても結構しっかりと自立していますので、外した状態で隙間にモルタルを詰めていくことにしました。
モルタルが乾いて固まれば、構造的にはアーチの完成です。
アーチ花壇完成
白いモルタルで目地を化粧して完成です。あとはランタンをぶら下げたり、下の台にタイルを敷いて鉢植え置き場を作ります。
西洋の建造物のアーチには、キーストーンにライオンの頭や人の顔などの彫刻が飾られています。余裕ができたら彫刻にも挑戦して飾りを付けたいところですが、芸術的センスが問われるので、いつになることやらです。
花壇に花を植えた様子
完成後、土を入れて花を植えた写真は以下の通りです。予想以上の出来栄えに大変満足しています。
後背フェンスの設置
アーチ花壇は以上で完成ですが、この花壇には後ろに2m程度の高さのフェンスを設置しました。庭造りの構想として、花壇につるバラを植え、このフェンスに誘引してバラの花の壁を作るという夢を描いています。
おまけ
アーチが完成すると、扇型の支え板は無用になりますが、捨てるのはもったいない。ちょうど2枚あり、2つ合わせると楕円形になるので、テーブルを作ってみました。作業用テラスに置いて、作業台として活躍しています。
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