園芸センターで花の苗を買ってくると、地植えにするのでなければまず最初に鉢に植え替えます。また、植えた木や花が育ってきたら大きめの鉢に植え替える「鉢増し」を行います。
そこでまず重要なのは鉢の選び方。ここでは鉢のサイズや素材、使い方について初心者向けに解説します。
鉢のサイズ
鉢のサイズ(号数)の呼び名と実際
鉢のサイズは「号(ごう)」で表され、1号は「1寸」で約3cmです。したがって鉢の直径(外径)は号数に3をかけたセンチ数となります。たとえば5号鉢の外寸は15cmです。
鉢の各号数の目安となる直径と容量
| 号数 | 直径 | 容量 | 海外の表記 |
|---|---|---|---|
| 4号 | 12 cm | 0.6 L | 4-5 inch, 12-15 cm |
| 5号 | 15 cm | 1.3 L | 6 inch, 15 cm |
| 6号 | 18 cm | 2.2 L | 7 inch, 18 cm |
| 7号 | 21 cm | 3.5 L | 8 inch, 21 cm |
| 8号 | 24 cm | 5.2 L | 9-10 inch, 24 cm |
| 10号 | 30 cm | 8.5 L | 12 inch, 1-2 gallon |
1インチは約2.4cmですので、インチ表記の数字は号数表示の数字より若干大きくなります。
円形でない鉢のサイズ表記
円形でない鉢や、インテリア性の高い鉢カバーでは、具体的な寸法が表記されます。
- 角鉢(四角):縦の辺×横の辺×高さで表記されます。(例:15cm x 15cm x 18cm)
- プランター(長方形):長辺×短辺×高さで表記されます。(例:65cm x 22cm x 18cm)
プランターでは長辺の長さ(cm)を使って「型」で呼ぶことがあります。(例:65型)
ポット苗のサイズと植え替え
園芸店などで販売されている多くのポット苗は、3号(直径約9cm)サイズが基本です。
ポット苗から最初に植え替える鉢は、苗の鉢より「ひと回り(1号)〜ふた回り(2号)大きい」サイズが目安です。たとえば3号苗は4号鉢または5号鉢に植え替えます。
寄せ植えのサイズ選び
寄せ植えに使用するポット苗がすべて入るだけでなく、それぞれの株の根が張るスペースを確保できる鉢サイズを用意します。
複数の植物がバランスよく配置できるよう、余裕をもった大き目のサイズを選びましょう。
鉢増し(徐々に大きく育てる)の基本
株の成長に伴い、根が鉢いっぱいに回ったら、徐々にひと回り(1号)大きな鉢へ植え替えていきます(鉢増し)。頻度の目安は植物の種類にもよりますが、通常は1〜2年に一度の鉢増しが推奨されます。鉢の中は見えないだろうと言われそうですが、ふつうは地上で茂っている茎や葉と同じぐらいのサイズで根が張ります。鉢の外径を超えて茎や葉が育ってきたら鉢増しのタイミングです。
最終的に大きな株に育てたい場合でも、いきなり大きな鉢に植えるのは避けましょう。 鉢に対して株が小さすぎると、土の量が多くなりすぎ、水分がなかなか抜けず、根腐れの原因になります。
鉢の種類
鉢の素材には大きく分けて焼き物の鉢とプラスチックの鉢があります。それぞれ特徴がありますので、目的や趣味に応じて選択しましょう。
焼き物の鉢の特徴
焼き物の鉢は、粘土を焼いて作られており、主に素焼き鉢(テラコッタ)と、釉薬(ゆうやく)を塗って高温で焼き締めた陶器鉢(化粧鉢/釉薬鉢)に分けられます。
メリット
- 高い通気性と透水性: 粘土の粒子間にできる微細な穴(気孔)を通して、水蒸気や空気が通り抜けるため、根腐れを防ぎやすいです。(※釉薬を塗った陶器鉢は通気性が低くなります)
- 水やり過多になりにくい: 土が早く乾くため、水やり頻度が高くなりがちな人に向いています。
- 重厚感とインテリア性: 見た目が美しく、植物の魅力を引き立て、インテリアとして映えます。
- 安定性: 重いため、風で倒れにくく、大型植物の安定に適しています。
デメリット
- 重い: 移動や植え替えが大変です。
- 割れやすい: 衝撃や、冬場の水分凍結により破損しやすいです。
- 乾きやすい: 特に素焼き鉢は水分が蒸発しやすいため、乾燥を嫌う植物や、夏の水切れに注意が必要です。
- 高価: プラスチック鉢に比べると価格が高めです。
プラスチック鉢の特徴
安価で軽いため、園芸市場で最も多く流通しています。
メリット
- 軽い: 移動、運搬、植え替えが非常に楽です。
- 安価: 非常に安く手に入り、大量に鉢が必要な場合に最適です。
- 高い水持ち: 側面から水分が蒸発しないため、水やりの手間を減らせます。
- 丈夫: 割れにくく、耐久性があり、落としても安心です。
デメリット
- 通気性が低い: 側面から空気や水が通らないため、鉢内に湿気がこもりやすく、根腐れを起こしやすいリスクがあります。
- 温度が上がりやすい: 特に黒い鉢は、夏場の直射日光で鉢内の温度が非常に高くなり、根が焼ける(蒸れる)危険があります。
- 倒れやすい: 軽いため、背の高い植物や屋外での強風で倒れやすいです。
- 安価に見えやすい: 質感で焼き物鉢に劣ることが多いですが、最近はおしゃれなデザインの鉢も増えています。
二重鉢のおすすめ
鉢植えは飾りたい場所が室内だったり、北側の玄関先だったりしますので、定期的に陽当たりの良い場所に移動したりする必要があります。お洒落で高級感のある焼き物の鉢にしたいところですが、重い鉢植えを毎回動かすのは大変です。
そこでお勧めなのは、鉢植え自体はシンプルで軽いプラ鉢を使い、それを中に入れられる大きい焼き物の鉢を用意して二重鉢にすることです。両方のいいとこどりができ、見栄えと管理が両立できます。
陽に当てたくなったら軽いプラ鉢の鉢植えだけを移動すればよいですし、鉢を複数用意してローテーションして楽しむこともできます。
二重鉢の注意事項
鉢のサイズ選び
プラ鉢は軽いといっても中に土が入っていますので、それなりの重さになります。外の焼き物の鉢から取り出すために両手を入れる必要がありますし、鉢の厚みもあるので、二回り程度大きいサイズの焼き物の外鉢を選びましょう。
内側のプラ鉢が見えるとカッコ悪いので、外側の焼き物の鉢の高さはプラ鉢よりも背の高いものを選び、内側の鉢が目立たないようにしましょう。
鉢カバー
インテリアとして二重鉢にする場合、外鉢として鉢カバーを利用することがあります。鉢カバーは底に水抜き穴が開いていないので、そのまま水やりをすると中に水が溜まって根腐れの原因となります。陽にあてる際に外でたっぷり水やりをしてください。
通常の穴あきの鉢を使う場合は、下に水受けの皿を敷けば室内でも水やり可能です。
鉢の購入
鉢を購入する場合はホームセンター等で実物を見て、二重鉢にする場合は実際にサイズを合わせて購入するすることをお勧めしますが、なかなか気に入ったものが見つからないことも多いです。
ホームセンターで様々な鉢のサイズを実測したりしてイメージを掴み、気に入ったものが無ければネットで寸法を確認しながら購入するのも一つの方法です。




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